信州版 人生ニモウサク劇場

このページでは シニア層の社会参加や 高齢者を支える 様々な取組をご紹介します。

  • シニア事例

男性シニアの定年退職後の居場所は…。地域の活動に男性の参加が増えない…。そんな話題をよく耳にしますが、「やっぱり俺たちの居場所を作りたい」と自ら行動を起こしたシニア地域プロデューサー(シニア大専門コース卒業生)を紹介します。

シニア地域プロデューサーが立ち上げた、男性の「サードプレイス」(長野市)

「ゆる~く、それが会のモットー」  
合言葉は「亭主元気で留守しましょう!」定年退職後の生き方を模索、見渡すと共感する仲間がたくさんいました。

「ゆる~い おっさんの会」の発足は2019年10月12日。メンバー12名からのスタートでした。再雇用に第二の職場、現役会社員に自営業、リタイアした人たちと、それぞれの顔を持つ男性が会場に集まりました。

発足にあたり開催した座談会では「自分と違う経験やノウハウがある人との付き合いが楽しみ」「メンバーが持っているネットワークを楽しみたい」「何も決めず、ダラダラとしたコミュニケーションが楽しい」など、皆さん声には「楽」の言葉が並びます。ここでは、上司や妻の小言から解放されたい…そんなつぶやきも聞こえそうです。

投票で決まった会の名前は「ゆる~いおっさんの会」(以下、ゆる会)。なんともユニークな名前で、それでいて癒されるイイ名前です。定年後はゆっくりやろう、ゆるくやろう、決まりは作らず思い立った時にできることをみんなで決めて始めようという趣旨の会です。
シニア地域プロデューサーが立ち上げた、男性の「サードプレイス」(長野市)の画像1
「ゆる~い おっさんの会」の説明を聞くと、なんだかほっとします。
シニア地域プロデューサーが立ち上げた、男性の「サードプレイス」(長野市)の画像2
居場所を求めるおっさんたちが集まります。
「シニア大学 専門コースへ入学 ~自分らしくあるために~ 」
在職中の58歳の時。「ゆる~い会」リーダーの藤澤さんは「なんだかモヤモヤしている定年後の生き方に自ら向き合いたい」と、シニア大学長野学部の専門コースへ入学しました。地域のリーダーとなりプロデューサー的存在になる人材「シニア地域プロデューサー育成」を目的とした本コースには、県内中から同じ志を持ったシニア世代が集います。ご家族の理解もあり、有給休暇を調整しながら1年間の学びがスタートしました。

入学のきっかけは、小説『終わった人』(内舘牧子著 舘ひろしが主人公で映画にもなった定年小説)を読んだこと。世間から「終わった人」の烙印を押されてしまう主人公・田代壮介に、自分の姿が重なり「このままでいいのか。いや、こんな風にはなりたくない…」という想いが、心に問いかけてきたからだそうです。

シニア地域プロデューサーが立ち上げた、男性の「サードプレイス」(長野市)の画像1
専門コース時代に男性の居場所づくりの計画を発表する藤澤さん
「『想い』が大事」
藤澤さんは「ビジネスデザインコース」で、仲間や講師、スタッフとの対話を重ねる中で「男性が気軽に相談できて、活動の情報が集まる<窓口>や<サードプレイス>が身近にあればいい」と気づきます。「僕のように、家に閉じこもらず地域で活動しながら充実した毎日を過ごしたいと考える男性は多いはず」と考え『男性の居場所づくり』を活動テーマに決めました。
シニア大生に実施したアンケートでは「何かやりたいが周囲に見当たらない」という回答に、潜在するニーズを感じたと言います。

一層想いは強くなり、卒業後はシニア地域プロデューサーとして男性の居場所を具現化しようと、長野市市民活動サポートセンターへ転職されました。

「企業人の時は、価値の基準が『利益』だったが、ここでは『想い』のような気がする。今まで狭い世界で生きてきたことに気づいてカルチャーショックを受けたね」と、新鮮な日々にワクワクしつつ当時を振り返ります。


シニア地域プロデューサーが立ち上げた、男性の「サードプレイス」(長野市)の画像1
ビジネスデザインコース時代の授業風景
シニア地域プロデューサーが立ち上げた、男性の「サードプレイス」(長野市)の画像2
シニア男性の地域とのつながりをテーマに開催したタウンミーティング(センター長野支部主催)では実行メンバーとして悩める想いを語ってくださいました。
いつからでも仲間はできる!
令和2年8月には「定年後は何をする?」と題した座談会が開催されました。
そこには、初代ゆる会メンバーの姿があります。世の中には同じようにモヤモヤしているおっさんたちがたくさんいるはずだと、賛同した初代メンバーがサポーターとして協力しています。
藤澤さんは会の最後にこう話します。
「これまで僕たちはガチガチに働いてきました。せめてこの会では、ゆるくいましょう。ゆく(行く)もくる(来る)もゆるく…」参加したシニア男性の目が輝きます。

シニア地域プロデューサーが立ち上げた、男性の「サードプレイス」(長野市)の画像1
一緒に学んだシニア地域プロデューサーも「ゆる会」をサポートしています。
人生後半戦を楽しくいきたい!
「人生の後半戦を楽しく生きたい。そのためにも、個々の『経験』や『知識力』『ネットワーク力』を発揮して、その力を地域社会に役立てることで幸せを実感しよう」という理念は、まさに「人生二毛作の実践編」です。今後は、団体や地域、世代を超えた「枠」にとらわれない交流の企画を計画しているそうです。

「仕事を辞めても、もう少し人とのつながりが続くと思っていたが、パッタリ途絶えてしまった」
あるシニア男性の言葉です。
男性だってつながりたい。
その1歩を導くシニア地域プロデューサーが立ち上げた「男性の居場所」は、これからも注目です。

(長野支部 シニア活動推進コーディネーター 齊藤 むつみ 2020.12)

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