信州版 人生ニモウサク劇場

このページでは シニア層の社会参加や 高齢者を支える 様々な取組をご紹介します。

  • シニア事例

男性たちが家にこもりがちだと心配する声が各地で課題になっていますが、伊那市高遠町総合福祉センター「 やますそ」では、毎週火曜日、男性たちが楽しそうに集まって「男性筋トレ教室」を開いています。その様子をご紹介します。

「男性筋トレ教室」(伊那市)

「おしゃべりできるのがいい。これだけは外せない。」
「男の筋トレ」と聞いて男性が黙々とマシーンを使っている姿を想像しながら、ドアを開けると…15人程の男性たちが椅子に座り談笑していました。「寒いねえ。」「それにしても雪が降らないね。」…部屋に入ってきた参加者は、健康運動指導士の上山先生にまず血圧を測ってもらい体調を確認します。参加者は70代から最高齢は90歳の方もいらっしゃいます。
いよいよ筋トレ開始です。紅一点、上山先生のリードで、椅子に座ったまま、皆大きな声で数を数えながら、体を伸ばしたり曲げたりしていきます。チューブやボールを使った体操もあります。「ウィー」とうなり声をあげている参加者に、先生から「ごしたいですか?」「息してますか?」と声がかかります。普段あまり使わない筋肉を伸ばしていく心地よさを感じながら、自分の体の声を聞き体を動かしていきます。上山先生が、一人ひとりの様子に目を配り、さりげなくサポートをしています。

「男性筋トレ教室」(伊那市)の画像1
まず血圧を測り、体調の確認をします
「男性筋トレ教室」(伊那市)の画像2
真剣な表情で筋トレ中!
一人では難しいことも、支え合えばなんとかなる
みんなで立ち上がって円くなり、手をつないで片足立ちに挑戦します。一人では難しいことも、支え合えばできる、ちょっと感動の瞬間です。休憩時間には、お茶を口に含みながら「結構な運動になるねえ。」「あ~、なるなる。」「○○さん、(体が)やわらかいじゃん。」と声がかかります。70代の若手組が後ろに回って肩たたきをしながら「いつでも呼んどくんな。マッサージに行くで。」と楽しい会話も飛び出します。「最後に、深呼吸をしましょう。いやなことは全部、吐き出してってね。」と上山先生。開始から1時間後には体もぽかぽかになりました。
「男性筋トレ教室」(伊那市)の画像1
一人では難しいことも、支え合えばできる
「男ばかりだとね、おしゃべりができるんだよ。」
通い始めて2年半の北原 伍(ひとし)さん(74歳)は「最初に行った教室は女性ばかりで、行きにくくってね…ここは雰囲気もいいし楽しい。毎週通ってる。雑談が楽しいんだよね。これだけは外せないね。」と笑顔で話します。もともと平成20年、合併前の高遠町で「(介護予防教室への参加が少ない)男性だけでやってみよう」と始めた筋トレ教室に参加したメンバーが「やめたらもったいない」と自主グループを結成したのが始まりだそうです。「ずっと続けているから、4、5km歩いたってなんでもないよ」と代表の松崎 勇さん(78歳)。新年会では得意の手打ちそばをふるまいました。「男ばかりだとね、おしゃべりができるんだよ。」なるほど、男には男の流儀があるようです。
口コミで誘い合い、メンバーも少しずつ増えてきました。免許を返納した方の送迎もメンバー間で行っています。体にいいとはわかっていても、一人で続けるのはちょっと大変な筋トレも、仲間と一緒なら続けられる。毎週顔を合わせる仲間たちの絆と温かさが、居心地の良さや信頼感につながっているのを感じました。   (取材:2020年2月)


「男性筋トレ教室」(伊那市)の画像1
心も体も軽やかに!筋トレ後の記念撮影
あれから1年…
高遠の桜のつぼみが色づき始めた2021年3月、一年ぶりに活動を訪問しました。新型コロナウィルス感染拡大の影響で会場が使えなかった昨年4、5月は、メンバーからの要望で筋トレのプリントを配布し、各自が自宅で運動できるようにしました。そして早くも6月1週目には「そろそろやらんかい」と声が出て、感染予防対策(より広い部屋で、換気、消毒、マスクの徹底)をとりながら再開したそうです。新たな仲間も2名増えました。上山先生によると、コロナ禍でも週1回筋トレを続けているこのグループでは、認知機能の維持など大きな効果がみられるとのことです。「楽しいもんでね。」と語ってくれた参加者の笑顔が印象的でした。
 
(2021.3.24 シニア活動推進コーディネーター  藤井 佳代)
「男性筋トレ教室」(伊那市)の画像1
感染症対策をとりながら活動を継続しています

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