天竜川の西側に広がる松尾地区は、人口が約1万3千人と市内でも4番目に人口の多い地域である。河岸の平地部は卸売や工業団地を有する周辺地域には高度成長期以降の新興住宅地もあり、大規模工場や女子短期大学もあることから地区外からの移住者も多く、県内でも有数の生徒数の多い小中マンモス校を抱える。高齢化率は比較的低い反面、自治会などへの加入率が相対的に低めなのは、地域住民の多様性の証ともいえる地域である。
今年度松尾公民館が新たに取り組んだのが『大人の部活』。定年退職後、特に家に引きこもりがちな男性に気楽に公民館に足を運んでもらいたい、との思いから企画した事業である。第1弾は『松尾名画劇場』と題して、名画鑑賞会を6月2日(木)に開催した。
“潜在的なニーズがどれほどあるのか?”。募集は地区内の回覧のみだったため、参加人数は「当日蓋を開けるまで不安だった」と話す館長の勝野さん。だが当日は“10名来れば・・・”との予想に反し、20名が参加。うち3名が男性だった。しかも参加者の多くが初めて公民館に足を運んだ方だったという。
当日は、鑑賞に先だって館長から企画の趣旨について説明があった。参加者には今後も企画運営に関わってほしいためである。名画鑑賞の後には、次回は交流会などもあるといい、といった声も聞かれ、アンケートには、音楽鑑賞や料理教室、お菓子作り講座など今後につながる希望も多くみられた。運営委員として参加を希望する意見も多く、今後は「大人の部活」運営委員会を立ち上げて、講座づくりに取り組んでいきたいとのことだった。同地域は外国籍の住民も多いことから、『大人の部活』が世代や文化を越えて住民が集まるきっかけの講座になってほしい。同地区では県の「子どもの居場所づくり」や「子ども食堂」のモデル事業が今年度開かれる予定でもあり、公民館はコミュニティースクールの拠点としても期待が寄せられている。地域の担い手としてシニア世代のボランティアとも連携したい、と話す勝野館長さんでした。
『大人の部活』第1弾『松尾名画劇場』。上演はオードリー・ヘプバーン主演『シャレード』
※文・写真:シニア活動推進コーディネーター 今村光利(飯伊支部)