こころにゼッケンをつけて

長野市

 降水確率50%。小雨がぱらつく中、18回目の長野マラソンが始まった。過去最多1万人を優に超す参加者がエントリーする中、スタートから5.2キロ地点に設置された第一給水所には、シニア世代のボランティアがランナーたちを待ち受ける。シニア大学の授業をきっかけに始まった“長野マラソンボラ”。現役時代に長野冬季五輪にも関わったメンバーの発案で長野マラソンへのボランティア参加が決まり、マラソンの組織委員会にはシニアに優しいボランティアとして持ち場を決めていただいた。

昨年は、長野マラソンの歴史や緊急時のAEDの取扱について事前に学習し本番に臨んだ。今年はボランティアの噂を聞きつけたシニア大学の“学友”も加わり19名が参加した。まもなくスタート、念入りな準備に余念がない。

「コップは間隔を十分に開けないと勢いよく来た選手は取りにくいよ」

「じゅあ、このくらいか」

と、メンバーが実演してみる。

「水は半分くらいがちょうどよかったよね」

と、去年のレースがよみがえってくる。さすがに2年目。今年はちょっぴり余裕も感じられ、メンバーのワクワク感が傍らの私にも伝わってくる。

「こういう時間が幸せじゃない?。仲間と元気でここにいられることが」

そんな一言に私もうれしくなる。

 給水地点は既に大勢のボランティアでにぎやかだ。隣は近くの専門学校生と先生。通りの反対側は地域の婦人部の皆さんである。

「今朝は4時58分発の電車で来たよ」

と、シニアのボランティアさん。もちろん、一番乗り。そこはシニア、譲れない。

“そろそろ1番の選手が来ます。皆さん、大丈夫ですか”と響く合図に自然とこぶしが挙がる。ランナーを待ち受ける彼らもまた、まぎれもない、心にゼッケンをつけた選手なのだ。

「がんばれ〜、ファイト!」

選手が大挙して給水所へ押し寄せる。そして、あっという間にシニア世代の最終ランナーが通過していった。

「燃えたね〜」
「今年は応援する暇もなかった」
「できるかなと頭で考えるよりも、とにかくやってみるもんだね」
「人足?人足だっていいじゃない、楽しいんだから」

満足の笑顔がこぼれる中、“来年もやろう”というリーダーの呼びかけに全員が大きくうなずた。


「さあ、やるよ〜!」こころのゼッケンがキラリ光る瞬間


「ガンバって〜!!」大きなエールで給水


さすがは2度目。チームワークもばっちり


次々と選手が通過。雨もやみました


ランナーとして参加してる同期のシニア大学生発見。初回から全て完走した証のゴールドゼッケンです。あと少し、今回も無事に完走できそうですね。


嵐の後の静けさ


後片付けも大事なボランティア


「はいよ!次は暑気払いだね」・・・人生を楽しめる仲間がいること。しあわせなこと。



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