はじまりはラジオ体操

長野市

 長野市の東部、千曲川と犀川が合流する落合橋のたもとに広がる住宅街。その中ほどの周囲を住宅と団地に囲まれた広場が大豆島(まめじま)東公園です。早朝、あちらこちらから一人また一人と老若男女が公園に集まり始めます。4月から11月の間、毎朝行われているラジオ体操は、平成25年から続けられている住民の取組です。

 地元の方々が、地域の福祉活動(大豆島地区地域福祉活動計画)の中で、住みよい地域を作るため、自分たちでできる取組を考えました。その話し合いで出たのが誰にでもなじみのあるラジオ体操。“夏休みに子どもたちが行っているラジオ体操に地域の住民も参加できないだろうか?”、“世代間交流にもなるのではないか?”。

 こうした経緯でラジオ体操が始まったのが平成25年の夏。育成会の活動に合わせてスタートし、夏休みが終わると“11月の花火が上がるころまで続けたらいいかね〜”。こうして緩やかな雰囲気の中で生まれた『ふれあいラジオ体操』は、ラジオを持ち寄る当番を有志のみなさんが自主的に担当しながら続けられています。

 翌年、地域の自治組織(住民自治協議会)で福祉健康部会長を務める田中敏子さんが、家庭菜園で採れすぎた野菜を近所にあげたり捨てたりする住民の姿を見かけました。そこで田中さんが畑を作っている方々に呼びかけたのが「ラジオ体操応援市場」の始まりです。夏の間の月2回、ラジオ体操終了後に開かれる応援市場では、ご近所の住民が持ち寄った新鮮な野菜が“特設”のテーブルにどっさりと並びます。応援市場は地域の男性のみなさんが中心で担当しています。

 こうして応援市場が始まると、採れた野菜やお茶請けを持ち寄って、お茶を飲みながら立ち話をする場も生まれました。体操が終わった後の2〜30分間、子どもからお年寄りまでお茶請けの漬物や料理を囲んで話が弾みます。ラジオ体操をきっかけに応援市場やお茶飲みの場が生まれ、地域の人々が出会い交流する話す場が増えました。ひとり暮らしの高齢者の方々も参加され、体操が終わると公園の周りを数名で散歩する姿も見かけます。同じ地域に住んでいても今まで交流の無かった方々と知り合い、声を掛け合う関係が広がってきました“こうやってコミュニティを再生していくんだよ”。お茶を飲みながら男性がつぶやいた言葉が印象的でした。


公園を囲んで団地が立ち並びます


それぞれ好きな場所でラジオの声にあわせて体操が始まります。


家庭菜園のとれたて新鮮野菜が並びます。


ラジオ体操応援市場では男性シニアが大活躍


笹のお皿でいただく家庭のお茶請けは格別です


差し入れも大歓迎!「食べてみて これおいしいよ」


やさしい心遣い


季節の野菜を持ち寄る応援市場


ラジオ体操をきっかけにコミュニケーションが生まれています



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