おたすけっ十有志隊!

上田市

 10時20分。2時間目の授業が終わって中休みの時間が始まると、子どもたちが教室からいっせいに飛び出してきます。ボランティアルームの扉の上に掲げられた“おたすけっ十有志隊”の看板の電球が光っているから、今日はボランティアが中で待っている証拠。元気な声がボランティアルームにぞくぞくと入ってきます。校舎の外からは縄跳びをやりたいとボランティアを呼ぶ声がします。「お願いするときは何て言うんだっけ?」「おねがいしまーす!」

 上田市神科小学校で学校支援ボランティアに取り組むのが“おたすけっ十(と)有志隊”のみなさんです。小学校とボランティアの関係を公民館が支える形で、昨年の4月から活動がスタートしました。校舎の一角に設置されたボランティアルームは、数年前までは学童保育に使用され、その後物置代わりとなっていた教室を模様替えしたもの。ホコリをかぶっていた古民具も、今やボランティアルームを飾る宝の山となりました。

 このグループの活動が生まれる背景には、同地域の上野が丘公民館が企画する「わいわい塾」があります。夏休み中の小学生を対象に地域とふれあいながら楽しむ「わいわい塾」は、夏休みの4日間、近隣の4つの小学校から約100名の子どもたちが参加し、地域探訪で地元のお寺で座禅を組んだり、市民の森で空き缶でご飯を炊いてカレーを食べるという“サバイバル飯”を体験します。この「わいわい塾」にボランティアとして参加した方々によって“おたすけっ十有志隊”が結成され、公民館の事業で生まれた絆が地域の子育て支援で実を結ぶ形となりました。

 静かなボランティアルームも、休み時間には子どもたちの声で溢れます。元気な子どもたちの安全を考えて、ストーブは触れても熱くないようにあらかじめ火を消しておきます。扇型の机に取り付けた“つっかえ”棒も、子どもが寄りかかっても机が倒れないようにするための工夫です。「こういうことに気づくのは“年の功”です!」と公民館のコーディネーターさん。ボランティアルームには子どもたちがお茶を立てる畳敷きのコーナーがあり、「今までは子どもたちは茶の立て方を学んでも、それを振る舞う人がいなかったけれど、今は私たちが“お客”になるので、子どもたちも楽しくなったようです」。

 4月から文字通り手さぐりで始めたボランティア活動だが、今までボランティアルームを開けなかった日はなかったとのこと。「ずいぶん前になるけれど、長野の子どもの体力が低下したというニュースがあって、何かしなければと思ったのがきっかけ」と話すメンバーの関さん。自分たちがやりたいことと学校が望んでいることを、時間をかけて意思疎通を図ってきた。ボランティア活動への参加は強制しないけれど、学校からの依頼は責任をもって対応に心がけている。壁に貼られた『学校を訪問する際の心得』の最後が印象に残りました。

“私たちへのお礼は、子どもたちからの「笑顔」と「ありがとう」です”


看板のライトが点いていたら、ボランティアさんが待っている証拠です。


2時間目の授業が終わると、こどもたちがやってきます。


物置代わりだった教室は昔の農具など宝の山。


子どもたちが“お茶”を立てる時はお客様になります。


遊び道具も手作りです。これはまな板ほどの板を卓球のラケット代わりにテニスをする“テニポン”。「なかなか人気なんですよ!」


名札にはニックネーム。もうすっかり子どもたちの人気者です。「この前、離れたマンションから“かずぅー!!”って呼ぶんだよ」



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