上田市内北部の新田地区には、小学校も、薬局も、スーパーもあるのに、高齢者の施設がない。たまたま地域の祭りの打ち上げの会場で同席した地元の医師と薬剤師との間で交わされた問いかけが、その後住民を巻き込んだ活動へと発展し、地元住民によるNPO法人を核とした地域づくりの取組によって高齢者施設の設立へと実を結びました。地域を主体としたこうした取組は県内のみならず全国からも注目を浴びています。
施設内のベッド脇に置かれた手作りの椅子。大型バイクも乗りこなす地元の一人暮らしの高齢者がいずれ自分自身が世話になる施設のためにと自作して寄贈したものです。この高齢者がこの地域で生きるために何が必要か、そうした課題意識がやがて施設づくりへとつながりました。
お邪魔した時はちょうど台風が接近している頃でした。
住み慣れたまちの景色が窓の外に広がります。
帰り際、玄関先に掲げられたモザイクタイルの看板が目に留まりました。スタッフさんに尋ねると「よくぞ聞いてくれました!!」。施設の説明会の折に記念に参加者らと一緒に作った施設の看板。タイル張りなどまったくの素人のスタッフさんにとっては余程大変な苦労だったらしく、「もし失敗したら一生後悔してしまったかも・・・」。看板に埋め込まれた小さなタイルのひとつひとつに、ここで生きるという地域の方々の思いが込められているように感じました。