“ぽろん”とこぼせる場所づくり

認知症カフェ(飯田市)

 いくぶん小雨が降る梅雨空の中、飯田市の中心街にある福祉施設の2階の一室は和やかな雰囲気に包まれていました。入口の看板には“ほっとカフェ わたの実”の文字。今日は月に1度の認知症カフェが開かれています。

 認知症を支える家族のグループが今年度から運営に携わる認知症カフェ。市の委託事業という形式は長野県内でも珍しい。「ご家族と一緒に泣いたり」と同じ目線で寄り添える、気兼ねなく立ち寄れる場所づくりは、「ここで解決はできないけれど、心をすっきりして帰っていただきたい」という熱意に行政がバックアップしたもの。自作のジャムや小料理などを持ち寄って、訪ねてきた方々を穏やかに迎えます。

 あいにくの雨模様でしたが、10時の開店から訪ねる方も徐々に増え、たちまちテーブルはにぎやかになりました。相談にみえられた方も多く、コーヒーや紅茶を準備する人、お菓子を用意する人など、みなさん忙しそうでした。

 認知症のとらえ方はご家族ごと様々なので、「せめて困らせることだけはないように」注意を払っているとのこと。行きたい時に行けて、いろんな思いを「“ぽろん”とこぼせる場所」づくりが、すこしずつ地域に広がっています。


テーブルに置かれた貯金箱。利用料100円を入れるとお茶やお菓子が出てきます。


スタッフ手作りのジャムです。飾らないもてなしが和やかな雰囲気を作ります。


入口の看板『ほっとカフェ わたの実』。あいにくの雨模様でしたが、訪れる方の多さにお揃いのエプロンをつけたスタッフも忙しそうでした。



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