信州版 人生ニモウサク劇場

このページでは シニア層の社会参加や 高齢者を支える 様々な取組をご紹介します。

  • シニア事例

中川村大草城址公園で、お花見の時期にだけ開店する五平餅とうどんのお店があります。山里の知恵にあふれた暮らしと仲間たちとのつながりを楽しみながら、コロナ禍の今年も、できることを模索して開店しました。

「かどっこおばさん」(中川村)

仲間たちとともに! 「公園管理室を厨房に…」  
今年も、中川村大草城址公園の桜は見事に花を咲かせました。公園には「かどっこおばさん」の旗がなびき、五平餅のいい香りが漂っていました。

もともと地元の宿泊施設 望岳荘で調理師をし、定年退職後は保育園給食で仕事をしていた中西睦子さん。20年程前、大草城址公園の桜を見に来る人が増え始めた頃、「公園管理室を厨房に改修したいが…。」と村から声がかかりました。「ここまできて何にも食べなんで帰るんじゃつまらんでね。」と、地元の仲間たち6人に声をかけ、一年に一度、咲く楽(さくら)まつりの期間限定で〈かどっこおばさん〉というお店を出すようになりました。最初の年はおむすびを販売、翌年からは道具を持ち寄って五平餅と豚汁、うどんを販売してきました。
「かどっこおばさん」(中川村)の画像1
この時期だけ、公園管理室が「かどっこおばさん」のお店になります(2019.4月撮影)
「かどっこおばさん」(中川村)の画像2
おもてなしの心がいっぱいの五平餅
「おいしいと言われると思わずサービスしたくなっちゃうの。」
 営業に向けて、みんなで試作・試食会を繰り返しました。「『ああ、また失敗した~』って、楽しかったなあ。」と中西さん。公園に湧き出る清水のそばで見つけたセリをうどんに散らしたり、春にはわらび、たけのこ、秋にはキノコを採ってきて塩漬けにしたり。キュウリやダイコンはせっせと漬物にします。翌春は、山菜うどんときのこうどんがメニューになりました。漬物はサービスです。「おいしいと言われると思わずサービスしたくなっちゃうの。」
 最初はボランティアのつもりでしたが、売り上げが出てきたので大きな五平餅用の炭焼きコンロを買いました。炭は近所の人に焼いてもらい、すりこぎは家にあった桐の材で作りました。たくさんとれた野菜があれば、「これ使えるかなあ」と持ち寄ります。「好きでなきゃ やらんもんでね。」「みんな(仲間たちは)、たのみゃあ(頼めば) やってくれるもんで」
「かどっこおばさん」(中川村)の画像1
売上金で、五平餅のコンロを買いました
暮らしの中で繰り返してきたこと、手を抜くことなく続けていこう
こうして昔から山里で季節ごとに繰り返してきたことを、「気を抜く時なく」続けてきました。「(仲間たちは)みんな『楽しい』って言うよ。商売っ気なくやっとるもんで。」と中西さんは言います。現在13人でローテーションを組んで活動しています。売り上げは残しておくお金じゃないし、みんなで分けたほうがいいねと、参加した時間給で計算し手渡しています。自分たちが作ったものがお金になるのは面白いし、喜びにつながります。
「二週間のために、損得考えないでおいしいといわれるよう、手抜きをしないようにやらまいな(やろうね)。」「3週間やることでみんなのつながりが生まれる、みんなの顔みりゃあ、来年までまめでおりゃにゃあな。」と話していました。
「かどっこおばさん」(中川村)の画像1
2021年は持ち帰り用の五平餅で開店しました
「かどっこおばさん」(中川村)の画像2
中央アルプスと大草城址の桜 カメラマンにも人気です
とにかくできることをやっていこう
昨年2020年はコロナ感染拡大のため咲く楽まつりが中止になり、開店することができませんでした。今年もお祭りは中止になりましたが、「2年続けてやらなんだんじゃつまらん。とにかくできることをやっていこう」と、お持ち帰りの五平餅を販売することにしました。クルミがたっぷり、山椒が効いた五平餅。思わず笑顔になってしまうおいしさです。
桜の季節になったら、かどっこおばさんの笑顔に会いに、ぜひお出かけください。
「秋の紅葉もいいんだに。中川村、いいところだで、また出かけてね。」
(2021.5.20 シニア活動推進コーディネーター 藤井 佳代)

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